製造業には切っても切り離せない重要な職種の生産技術職。
しかし生産技術職といっても業務内容は様々で、特に大企業はここからさらに細分化されて多くの部署に分かれていきます。
そのため生産技術職の全体像が把握しにくいと思う人も多いと思います。
また生産技術職はツラい・キツイと言われますが、仕事内容のどのような点がそう思われているのかについて解説していきます。
私も生産技術職として働いているので、リアルを解説していきます!
生産技術職の仕事内容
生産技術職といってもその仕事内容は多岐に渡り、大企業であれば様々な部署に分かれていく場合がほとんどです。
ほとんどの場合で生産工場に勤務することになりますが、中には都心のオフィスに出社する本社勤務の生産技術職の人もいます。
具体的には以下の通り分かれていくので、就職活動時にしっかり確認しておけばミスマッチを防ぐ事ができると思います。
- 生産設備の開発・導入
- 生産設備の保守・保全
- 生産量の計画やスケジュール管理
- 新しい建物や工場の立ち上げ
- 空調設備などの製造間接設備の保守・保全
- 省エネ・省資源・環境面の管理
これらの業務ごとに部署がある会社もあれば、全てを包括して一つの部署とするところもあります。
よく施工管理職と勘違いされがちですが、生産技術と施工管理は全く別の職種なので注意しておきましょう。
生産設備の開発・導入
生産技術職として一番イメージしやすい業務かと思います。
生産設備の開発・導入は高効率であったり、安全性の高い設備を開発して導入し工場の生産効率を高めていく業務になります。
また包装形態を変えたい・パッケージを変えたいなどの要望にも対応したりします。
人手不足の懸念がある昨今、省人化や自動化を進める企業が多く、非常に需要のある業務です。
省人化・自動化はどの工場でも需要がありますね。
生産設備の保守・保全
生産設備の保守・保全業務は効率的で安定した生産活動を行うため、生産設備のメンテナンスを行う業務です。
またトラブル時の対応や部分的な設備の改善業務を行ったりもします。
メンテナンスを行うにあたり、どの設備をどれくらいの周期で行うか検討し、メンテナンス計画の立案や予算化なども担当します。
生産量の計画やスケジュール管理
意外に思われるかもしれませんが、生産計画の立案も生産技術職の仕事内容に含まれてきます。
工場の人員や製品需要、設備の導入計画などを踏まえて、どの製品をどれくらい・いつまでに生産するかを計画し管理していきます。
生産技術は技術系の職業と思われがちですが、このような管理系の業務を行ったりもします。
現場や設備面の知識も必須なので、結構難易度が高かったりします。
新しい建物や工場の立ち上げ
新しい工場立ち上げや生産をする建物の建設計画を担うのも生産技術職になります。
新しい建物を建設する際は、生産設備や後述する空調設備などの間接設備、建築技術など様々な知識が必要になります。
生産技術職の職務の中では一番インパクトの大きい仕事内容になります。
空調設備などの製造間接設備の保守・保全
工場の設備は生産設備だけではありません。
空調設備や水・蒸気を供給する設備・電気設備など、生産を行う環境を整える設備も多く存在します。
工場は大量のエネルギーを消費するので、そのエネルギーを安定供給するため間接設備を保守保全する部署も生産技術職の中に含まれていきます。
ボイラー技士や電験、〇〇取扱者などの資格を持っていると、この業務に就く可能性が高いです。
省エネ・省資源・環境面の管理
工場は大量のエネルギーを消費するので、原価低減を図るため省エネは必須の業務になります。
また世界的に環境への意識が高まる中、工場に太陽光パネルや発電機を設置する会社も増えてきます。
このように工場内で消費されるエネルギーに注目し、省エネやエネルギー使用量の報告・管理を行う業務もあります。
2050年カーボンニュートラル実現に向けて需要が高まりつつある業務です。
キツイと言われる理由
様々な業務を担っている生産技術職ですが、巷では生産技術はキツイと言われる事があります。
生産技術の検索サジェストにも「生産技術 キツイ」と出てきます。
なぜキツイと言われるのか、その理由についていくつか紹介していきます。
仕事の責任が大きい
上記の仕事内容からも分かる通り、生産設備・間接設備は工場の生産量に直結します。
また規模が大きくなりがちな生産技術職の仕事は、お金・関わる人の多さ・売上へ影響が非常に大きい仕事です。
設備導入であれば1,000万〜数億、建屋建設ともなれば数億〜数百億の世界のため、その仕事の重圧に折れてしまう人も度々見かけます。
私も新卒2年目から数千万円規模、4年目の現在は数億円規模の仕事をしています。責任はとても感じます。
設備の設計・導入業務が忙しい
設備導入業務はメーカーと共同で設計業務を行いますが、関係者が多くなるほど仕様への要望も多くなり、途中の設計変更も日常茶飯事です。
また設備を導入する際も、初期のトラブルや設備を使用する部署からの不満など、導入してお終いとはならない点もキツイと言われる所以です。
生産技術職の人にこの手の話題を話させると、半日くらいはノンストップで話し続けられるくらい愚痴が出てきます。
保全系の業務は夜勤がある
24時間稼働している工場であれば、設備監視を24時間行う必要があります。
そのため夜勤として交代勤務を行ったり、設備トラブルがあれば夜中に呼び出されたりもします。
監視業務のみ委託する会社もありますが、プライベートと仕事の境目をしっかりつけたい人にとってはキツイと感じる人もいます。
台風や地震が起きると、呼び出しを覚悟しますね…
メリットもしっかりある
何かとキツイと言われる生産技術職ですが、メリットもしっかりあるのでいくつか紹介していきます。
就職先が非常に多い
生産技術職は化粧品や医薬品、食料品や衣類など製造業全てに共通する職種になります。
そのため業界による縛りがあまりなく、就職先の選択肢を多く持つ事ができます。
メーカーなど給与水準の高い会社・業界に就職する事が出来るため、給与面に重きを置いている人やハイクラス転職を考えている人にもオススメの職種になります。
規模の大きい業務に関わることが出来る
人によってはキツイ・責任が重すぎると感じてしまいますが、規模の大きい業務をしたいと思っている人にはメリットにもなり得ます。
転職が当たり前になっている昨今では、実績を早いうちに作れる点もメリットと言えるでしょう。
資格保有が優遇されやすい
特に保全業務に関わる場合ですが、ボイラー技士や電験、エネルギー管理士など資格を保有している人は優遇されやすい傾向にあります。
法的に有資格者を選任しないといけない場合もあるので、どの工場も資格保有者を確保したいためです。
また資格を保有するためには数年以上の実務経験が求められる場合も多いため、資格を持っているだけで数年の実務経験をパスしたことになり、非常に人材確保が困難なんです。
そのため一度資格を取ってしまえば、転職活動を有利に進める事ができます。
会社によっては資格手当が手厚いところも!
生産技術職はブラック?!
ブラック労働をどう定義するかによりますが、生産技術は一概にブラックとは言えません。
私の職場の場合は月の残業時間が20〜30時間程度で、比較的休みも取りやすい環境にあります。
また人材不足の影響が大きいため、大企業でも人材確保に追われている事が多く、比較的優良企業への転職難易度も低いと感じています。
ブラックと言われがちな施工管理と区別がつきにくい人もいるかもしれませんが、生産技術と施工管理は全く別の職業です。
その点はしっかりと区別しておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は生産技術職の仕事内容として以下について紹介・解説してきました。
- 生産設備の開発・導入
- 生産設備の保守・保全
- 生産量の計画やスケジュール管理
- 新しい建物や工場の立ち上げ
- 空調設備などの製造間接設備の保守・保全
- 省エネ・省資源・環境面の管理
- 仕事の責任が大きい
- 設備の設計・導入業務が忙しい
- 保全系の業務は夜勤がある場合も
- 転職先が多い
- 規模の大きい業務に関われる
- 資格保有者が優遇されやすい
個人的には生産技術職はブラックではないと思っています。
転職市場も活発なため、待遇を維持したまま職場環境をよくすることも出来ます。
新卒で生産技術職を考えている人も、あまり心配しなくても大丈夫です。
ぜひ前向きに検討してみてください!
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